散瞳不良のIOL脱臼に対するIOL前房内操作を伴わないIOL強膜内固定術

網膜硝子体部門

散瞳不良の眼内レンズ(IOL)脱臼に対し通常のIOL縫着や強膜内固定術を行った場合、術前条件が不良であるため通常例より合併症を起こし易く視力予後不良となる可能性が危惧される。

症例はIOL脱臼の患者で、散瞳後の瞳孔径は3mm、角膜内皮細胞密度は約1412個/㎟であった。

術式は、眼底に落下させたIOL hapticsを2本の硝子体鑷子で把持し、そのまま強膜創から引き抜き強膜内に縫合・固定した。

硝子体腔でのバイマニュアル操作であるため硝子体手術の基本手技習得が必要であるが、本症例のようなIOLの前房移動ならびに前房内操作が煩雑となるIOL脱臼症例に対してはシンプルかつ理に適った方法であると思われる。

山本 拓広
大阪医療センター