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ご 挨 拶

第41回日本眼科手術学会学術総会
総会長 板谷 正紀
はんがい眼科

このたび、第41回日本眼科手術学会学術総会を冬の京都(国立京都国際会館)にて開催させていただきます。伝統ある本学会の総会長を務めさせていただきますことを会員の皆様に篤く御礼申し上げます。

私事ではありますが、私を育てていただいた医局は、研修医当時、手術がうまくなければ眼科医にあらずという雰囲気に満ちていました。それはとりもなおさず、手術の結果が患者さんの人生に影響する重さに鑑みての厳しさだったと理解します。手術がうまくなりたい、その想いは眼科医としての自分の遺伝子に刻み込まれました。当時、日本眼科手術学会で中心的役割を演じておられたスーパーサージャンたちの背中を見て育ちましたが、なかなか直接指導を受けられない不運にも嘆いておりました。そんななか、白内障手術で独り立ちしようという頃に参加した本学会で、いろいろな手術動画を見、考え方に触れただけで、学会後の自分の手術が格段に前進したのを覚えています。日本眼科手術学会は、それくらい成長期にある眼科医にとって教育的インパクトの強いものであると感じております。 学術的には、我々はこれまで超音波乳化吸引や小切開硝子体手術などのひとつひとつの技術革新が、技の錬磨(個人的にはこれが重要ですが)だけでは到達できない高いステージに手術を押し上げてきた歴史を経験してきました。最初は半信半疑、既に今の術式で完成度が高く良い結果を得ているのに変える必要があるのか?という声がある中、多くの術者が新しい技術に積極的に取り組み優越性が明らかになるとともに、周辺技術・機器・器具の洗練とともに手術手技は塗り替えられてきました。これまでの技術革新も今では伝統と呼べる確立された術式となっています。手術の進歩は、その繰り返しであり、今後も我々は今の伝統を大事にしつつ、次に来る技術革新に眼を向けなければなりません。手術の学会は、伝統に根ざした教育の役割とともに、技術革新に目を向け手術の進歩を経験する場でもありたいものです。その気持ちを、「伝統に生ける先端華」と表現させていただきました。華は実を結ぶかどうかわかりませんが、華が咲かないと実は絶対にできません。人工知能(AI)、Robotics、Regenerative Medicine、Navigation surgery、などなど、華のつぼみは我々の目の前にあります。さあ、頭の中で生けてみましょう。

楽しい情報交換の場として有意義な3日間になりますようおもてなしの企画を考えております。明日からの手術に役に立つヒントと出会いの場として、また今後の眼科手術はどうなっていくのだろうと想いを巡らせるひらめきの場ともならんことを願って特別講演、招待講演、特別企画、教育企画をはじめとするさまざまな企画を計画しております。冬の京都でくつろいだひとときをお過ごしください。